スパゲッティ会長ぶろぐ

日々思うことをあれこれ。

新型コロナ禍による禁煙と掏摸とのハーモニー

新型コロナウィルスによる感染症で全世界に危機がおとずれている。

 

正直にいって3月初め頃までは、

「しょせん風邪に毛の生えたようなやつに世間がずいぶん騒がしいな」

くらいにしか思ってなかった。

ふだんとっていた行動をとくに変えるつもりもさらさらなかった。

だが全世界で指数関数的に感染者数は増加していき、

昨日3/31時点で70万人の感染者・死者33,000人となっている*1

まるでSF小説さながらの世界的パンデミック

マスメディアでは新型コロナ禍なんていう呼称が現れだす。

 

じゃあ僕はこの状況にどう対応しようかっていうところについて、

まずは結論から言おう。

 

 

僕は今日から、禁煙をすることにした。

あと消毒のために酒はこれまでよりももっと飲みます。

それからよく眠ります。

 

二段目の酒のくだりは冗談として*2

肺炎にかかって死なないように、免疫力を高めることと、

喫煙で傷めた肺をちょっとは回復させておこうと。

まぁ僕にできる対処といえば自身の免疫力を高めることかなと思っています。

 

いまのところ、

外出をことさらに控えるつもりはありません。

人と会うことを自分から避けることもしません。

また状況に応じて方針を変えるかもしれませんが、

当面は新型コロナ禍への対応としてこういうつもりでいます。

 

この新型コロナパンデミックの行く末を予測するのは僕の領分によるところではないし、

この禍によってリモートワークがより実際的に進むというのは現在進行形ですが、社会の枠組みが変わったり(変わりはするだろうけど前進するのか後退するのか)とか、世界共通の脅威に人類が結束するのか、国家主義へと分断されるのか、といったことはどう転がるかまだ分からないところです。

 

なのでとりあえず決めていることは、

禁煙して免疫力を高めることと、とくに行動を自粛しないこと*3

これだけです。

 

 

 

ここから反論もあるかと思いますが、

僕がこれからも普段どおりの生活をするとして、「自粛」っていう言葉で抑え込まれないように、その考えについてをちょっとつれづれに書き下しておきます。

 

日本では「感染拡大を抑えるためにぜんぶ自粛せよ」っていうのと「いやいやぜんぶ自粛してたら経済面で自殺する人が爆発的に増える」っていうのが一見して対立しているようにみえます。

「お店は休業して外出禁止にしたほうがいい」「いやお店に行って経済を回さなきゃみんな沈む」というような二項対立です。

これは倫理学でよく出てくる、いわゆるトロッコ問題*4の派生形なのだと考えられます。

そのまま進めば5人死ぬ、スイッチを切り替えれば1人死ぬ。

「感染拡大」が5人なのか「自粛経済」が5人なのかは識者ではない僕には算定することは適いません。

マクロ的な視点では、どちらに振るかは為政者が判断を下す必要があるところで、方針が示されれば市民はそれに則って大枠では行動することになるでしょう。

下された決断が正しいかどうかは誰にも分からないでしょう。まったく同じ状況を別の方法で対処するシミュレーションができない以上/ファミコンのリセットボタンがない以上、正解はわからない。あとで結果を振り返ってさえ、どっちが正解だったともいえないかもしれません。

 

判別のつけられない問題は、判別のつけられるサイズ感のところまで視点を絞っていけばいい。

そこでここでは自分の身の回りに限って考えてみる。

たとえば僕に飲食店をやっている友達がいるとして、「もし自粛休業したり営業していても誰も来ないとしたら、数ヶ月で破産してしまう」って言われたら、「営業は続けよう。僕も食べに行くし、なんとか盛り上げられるように僕も協力する」って言います。

またその一方で僕は自分のおばあちゃんにはこう言います。「おばあちゃん、いまは通販とか配食業者に注文してなるべく外出しないで過ごせるようにしよう。スーパーや飲食店は行かない方がいいよ」って言います。

言動自体は矛盾しているようにみえますが、これらは僕のなかで共存することが出来る。

 

もっというと普段から僕は、世界のあるところで飢餓に脅かされている人々がいて子供が飢えて死んでいることを報道で知っていても、自分はバーベキューで肉を焼きながら「おいしいねガハハ」って笑っている。誰もそういう場で「世界には飢えている子供がいるんだからさ」とは言わないけれど。そのことに自覚的でいる。

 

ところで中村文則の小説「掏摸(スリ)*5」のなかで、主人公にスリの技を仕込んだ石川という人物にこういうセリフがある。「(~前略)世界にたった一人でも飢えた子供がいたとしたら、全ての所有は悪だ」。このセリフを読んだときはドキッとした。

 

・・・みんなが悪なら自分も許されるということではないが、自分が悪ではないとはいえないということを自覚していたほうがいいだろうと思う。折に触れて自戒する。

 

さて、

身の回りのところからトロッコ問題に戻って考えてみる。

分岐したレールの先に5人と1人がいるとして、1人の方が自分の家族・愛する人だったとしたら、僕ならば間違いなく1人を救う道を選ぶだろう。

人はそれぞれのトロッコ問題にその都度自分の解を出しながら生きているのかもしれません。

 

 

とりとめがなくなってきた感がありますが、もういちどいまの結論を。

僕は「自粛」を強要しないし他者からも強要されない。

だけど自分の身を守る行動は最低限しておこう。

ということで禁煙して外出します。

 

 

ここでもうひとつ思い出した。

伊藤計劃著「ハーモニー*6」という、21世紀の人類にパンデミックが起こった後の世界を描いたSF小説がある。

世界中の人々に医療用ナノマシン「WatchMe」をインストールし、その健康状態が政府の衛生機関につねに観察され、あらゆる病気が克服された世界。

健康であることが正しさの基準になり、人々がお互いの健康を見守り慈しみあうやさしい世界。

その世界の人類はいかなる結末を迎えるのか、いまふたたび読んでみるのも一興かな*7

 

 

保田海岸のゆうべ

保田海岸のゆうべ

 

*1:NHKのホームページで公開されているWHOのデータを参照した

*2:これまで以上に飲んだら急性アル中でしんでまうがな!w

*3:もともと人混みになるようなところは避けている引きこもりであって行動自体それほど変わらない(苦笑)

*4:wikipedia参照 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%B3%E5%95%8F%E9%A1%8C

*5:本作で大江健三郎賞受賞。海外にも翻訳され高い評価を得た

*6:本作は星雲賞日本SF大賞を受賞

*7:結末はググれば出てくるけど、興味ある方は調べずに読んでみて!